施設紹介

教授 ごあいさつ

渡部教授挨拶写真

 島根大学医学部では重症外傷の診療、研究、教育を行うことを目的に平成28年1月、本邦初となる「Acute Care Surgery講座」が新設され、同講座を担当させて頂くこととなりました。14年ぶりの大学病院勤務となりましたが、若い先生が多くて活気のある病院だなと感じております。

 さて、Acute Care Surgeryは、まだ聞き馴染みがないかと思いますが、欧米において新たに確立された領域であります。2005年に米国外傷外科学会が「重症体幹部外傷」、「救急外科」、「外科的集中治療」の3つを柱とした外科の一領域として提唱しました。

 日本においても2009年にAcute Care Surgery研究会が発足し、2013年1月には日本Acute Care Surgery学会へ発展したところであり、今後日本においてますます発展していく一領域と考えられております。この新しい領域であるAcute Care Surgeryに対して、全国に先駆けて講座を設立するという先進的取り組みには、全国が注目しているところであり、まさに日本におけるモデルケースと言えます。

 1つ目の「外傷外科(重症体幹部外傷)」ですが、これは交通事故などの高エネルギー事故により発生した重症外傷患者さんの手術的治療を主な役割としております。外傷外科とは表記されていますが、この中には手術を要しない重症外傷患者さんの全身管理や保存的加療も含まれております。

 重症外傷治療に対して平成28年4月より「高度外傷センター」を院内に設置し、重篤な外傷患者さんを広く受け入れることのできる体制を整備中であります。

 2つ目の「救急外科」は、いわゆる急性腹症症例から軟部組織感染症によるガス壊疽など緊急で手術対応を要する外科的疾患をその領域としております。急性腹症においては急性虫垂炎から敗血症性ショックを伴う腹膜炎まで幅広く対応しています。

 疾患の軽重にかかわらず手術が必要と考えられる急性腹症などの外科症例に対しては消化器・総合外科と協力して24時間対応しておりますので是非ともご紹介いただければと思います。

 3つ目の「外科的集中治療」では重篤な外傷症例や救急外科症例のうち集中治療管理を要するものに対して適切な全身管理を行っております。

 以上の3つの領域の疾患を受け入れ臨床実践するとともに、研究、教育にも力を注いでいき、日本におけるAcute Care Surgeryの中心的役割を担う施設を目指して尽力していきたいと考えております。皆様、何卒よろしくお願い申し上げます。

Acute Care Surgery講座 教授
高度外傷センター  センター長

渡部 広明

このページのトップへ